成年後見制度を絶対におすすめしない理由はいくつかあります。制度自体に大きな問題点があり、一度利用すると簡単には解除できないため、慎重に考えるべきです。
1. 一度始めると後戻りできない
成年後見制度は家庭裁判所の審判で開始され、原則として本人が死亡するまで続く制度です。
• 後見人が必要なくなっても、本人の意思では解除できない。
• 判断能力が少し回復しても、自分で自由にお金を管理することはできない。
2. 本人の財産が自由に使えなくなる
後見制度が始まると、本人は財産を自由に使えなくなる。
• たとえ本人が「旅行に行きたい」「趣味に使いたい」と思っても、後見人の許可がないと使えない。
• 「必要な生活費」以外の支出は制限されることが多い。
• 後見人が慎重になりすぎて、財産をほとんど動かさないケースもある。
3. 家族が後見人になっても自由にできない
成年後見人には、家族がなるケースと専門職(弁護士や司法書士)がなるケースがある。
• 家族が後見人になっても、裁判所の監督を受けるため、好きに財産を管理できない。
• 大きな支出があるたびに裁判所に報告が必要。
• 家族が後見人になりたくても、専門職が選ばれることもある。
4. 専門職後見人が財産を食い潰す
弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職後見人が選ばれると、報酬が発生する。
• 財産があると、毎月2万〜5万円程度の報酬が後見人に支払われる。
• 資産が多いと、年間100万円以上の報酬が取られることも。
• 後見人は基本的に解任できないため、不当に高い報酬を取られても対処が難しい。
5. 相続や財産整理が困難になる
成年後見人がついていると、本人の財産を生前に整理することが困難になる。
• 生前贈与や相続対策ができなくなる(後見人は「本人のため」以外に財産を使えない)。
• 家族が「少しでも財産を残したい」と思っても、後見人が財産を使い続けるため、相続の際に資産が減っているケースもある。
6. 後見人による横領・不正が多い
成年後見人による横領や不正使用の問題が頻発している。
• 専門職後見人が、本人の財産を私的に流用する事件が後を絶たない。
• 家族が気づいたときには、財産がほとんど消えていたというケースも。
7. 日常生活自立支援事業のほうが柔軟
成年後見制度を使わなくても、社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」などを利用すれば、お金の管理をサポートしてもらえる。
• 成年後見制度ほど厳格な管理ではないため、本人の自由度が高い。
• 必要な支払いだけをサポートしてもらうことができる。
結論:成年後見制度は本当に最終手段
成年後見制度は、本人が完全に判断能力を失い、どうしても財産管理が必要な場合の最終手段。
特に、軽度の知的障害や発達障害の人には向かないことが多い。
他の選択肢(日常生活自立支援事業や親族による支援)をまず検討し、それでも難しい場合にのみ考えるべき制度です。